第1種動物取扱業に登録するための5つの基準(要件)

2023年11月27日 更新

犬や猫のブリーダー、様々な動物を販売するペットショップ、犬や猫などのペットを飼い主さんから預かるペットホテルをはじめてみたいと考えている方はいらっしゃると思いますが、これらをはじめるためには、法律で規制される場合が、実はあります。

 

動物を取扱うときには、動物愛護管理法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)という法律によって、規制されています。

 

ただし、動物愛護管理法で規制される動物は哺乳類・鳥類・爬虫類であるため、例えば、カブトムシなどの昆虫類や、メダカなどの魚類だけを取扱うペットショップでは、動物愛護管理法の規制は受けません。

 

また、動物を取扱う事業(動物取扱業)は、動物愛護管理法の上では、営利目的で動物を取扱う「第1種動物取扱業」と、非営利で動物を取扱う「第2種動物取扱業の2種類に分けられており、ブリーダーやペットショップ、ペットホテルなどは、基本的に第1種動物取扱業に該当します。

 

第1種動物取扱業をはじめるためには、事前に登録をしておく必要がありますが、誰もが登録できるわけではなく、一定の基準(要件)を満たしていないと登録ができません。

 

ここでは、第1種動物取扱業の登録をするための基準(要件)についてご案内します。

 

1. 第1種動物取扱業の登録

第1種動物取扱業の登録は、反復継続的にまたは多数の動物を、社会性をもって、営利を目的として業務をするときで、次の表の業種のとおりです。

 

反復継続的にまたは多数の動物を取扱うこと、社会性を持って動物を取扱うこと、営利を目的として動物を取扱うことを判断するのは、難しいです。お困りでしたら、ぜひお問い合わせください。

 

業種 業の内容
販売 動物の小売・卸売り、それらを目的とした繁殖または輸出入 (その取次ぎ又は代理を含む)

◇小売業者

◇卸売業者

◇販売目的の繁殖または輸入を行う業者

◇露店等における販売のための動物の飼養者

◇飼養施設を持たない、取次・代理販売業者

保管 保管を目的とした顧客の動物の預かり

◇ペットホテル業者

◇美容業者(動物を預かる場合)

◇ペットのシッター

貸出し 愛玩、撮影、繁殖その他の目的での動物の貸し出し

◇ペットレンタル業者

◇映画等のタレント・撮影モデル・繁殖用等の動物派遣業者

訓練 顧客の動物を預かって行う訓練

◇動物の訓練・調教業者

◇出張訓練業者

展示 動物を見せる(動物とのふれあいの提供を含む)

◇動物園

◇水族館

◇動物ふれあいテーマパーク

◇移動動物園

◇動物サーカス

◇乗馬施設

◇アニマルセラピー業者(「ふれあい」を目的とする場合)

◇猫カフェ

競りあっせん 会場を設けて動物の売買をしようとする者のあっせん

◇ 動物オークション(会場を設けて行う場合)

譲受飼養 有償で動物を譲り受けての飼養

◇老犬老猫ホーム

 

第1種動物取扱業に登録しようとするときは、事前に、経営しようとする事業所のある都道府県で、業種・事業所ごとに登録をします。

2.登録の基準(要件)

第1種動物取扱業の登録をするためには、複数の基準があり、これらをすべて満たすことが必要です。

第1種動物取扱業では、人、ソフト面、ハード面、その他をクリアすることで登録OKとなる。犬猫等販売業では、さらに犬猫等健康安全計画のクリアも必要。
第1種動物取扱業の登録のために基準をクリアするイメージ

2-1.基準1:人に関すること(欠格事由)

登録する者(登録申請者)、事業所ごとに置く動物取扱責任者、登録申請者が法人であるときの役員、登録申請者の従業員であって事業所の責任者のいずれも、以下のうち1つでも当てはまると、登録ができません。

  1. 精神機能の障害によって、業務に必要な認知・判断・意思疎通が適切にできない者
  2. 破産者で復権を得ない者
  3. 第1種動物取扱業の登録の取り消し処分の日から5年を経過していない者
  4. 第1種動物取扱業の登録を取り消された法人で、その処分があった日前30日以内にその役員であり、その処分の日から5年を経過していない者
  5. 第1種動物取扱業の業務停止を命じられ、その停止期間が経過していない者
  6. 禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
  7. 動物愛護管理法、その他の指定された法律の特定の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
  8. 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
  9. 第1種動物取扱業の登録取消処分の聴聞通知後から、その処分決定までの間に廃業等の届出をした者で、その届出の日から5年を経過していない者
  10. 第1種動物取扱業の法人で、登録取消処分の聴聞通知後から、その処分決定までの間に、その法人が廃業等の届出をしたとき、聴聞通知の日30日前からその廃業等の日までの間に役員であって、その届出の日から5年を経過していない者

2-2.基準2:動物の適正な取扱いに関すること

次の基準のすべてに適合する必要があります。

  1. 事業所・飼養施設の建物や土地について、事業実施に必要な権限があること※1
  2. 販売業や貸出業を営もうとする場合、その事業内容が、決められた基準省令に適合していること
  3. 事業所ごとに、1名以上の専属で常勤動物取扱責任者を配置すること※2
  4. 事業所ごとに、顧客に対し、適正な動物の飼養・保管の方法などの重要事項を説明し、動物を取扱う職員を配置すること (事業所以外の場所においても同様)※3
  5. 必要な飼養施設があり、営業開始までに設置する見込みがあること
  6. 犬猫の飼養・保管を行う場合、事業所ごとに基準省令に適合するように、従業員の数を確保できる見込みがあること

※1 飼養施設がある建物や土地を所有していたり、きちんと契約をして借りているか、ということです。そして、賃貸物件で事業を行う場合には、貸主が事業について同意していることが求められています。

 

※2 動物取扱責任者の詳しいことは、こちらをご覧ください。⇒リンク(登録に必須の動物取扱責任者の要件)

 

※3 上記4の職員は、次の要件のいずれかに該当していなくてはいけません。

  • 業種ごとに半年以上の実務経験があること
  • 業種ごとの知識・技術について教育する学校(教育期間1年以上)を卒業していること
  • 各団体が行う試験によって、資格を得ていること

2-3.基準3:飼養施設に関すること

次の基準のすべてに適合している必要があります。

  1. 飼養施設は以下の設備を備えていること ※これらは、申請時に提出する平面図に記載します。
    • ケージなど
    • 照明設備 (営業時間が日中のみであるなど、この設備が必要ない場合は除く)
    • 給水設備
    • 排水設備
    • 洗浄設備
    • 消毒設備
    • 汚物・食べ残しなどの廃棄物の集積設備
    • 動物の死体の一時保管場所
    • エサの保管設備
    • 清掃設備
    • 空調設備 (屋外施設は除く)
    • 遮光設備や風雨を遮るための設備 (ケージなどがすべて屋内にあるなど、この設備が必要ない場合は除く)
    • 訓練場 (飼養施設での訓練業に限る)
  2. ねずみ、はえ、蚊、のみなどの衛生動物が侵入するおそれがある場合は、侵入を防止できる構造であること
  3. 床、内壁、天井、付属設備は、清掃が容易であるなど、衛生状態の維持・管理がしやすい構造であること
  4. 飼養・保管をする動物の脱走を防止できる構造・強度であること
  5. 飼養施設・設備が、事業実施に必要な規模であること
  6. 飼養施設が、動物の飼養・保管のための作業に必要な空間があること
  7. 飼養施設に備えるケージなどが、次のとおりであること
    • 耐水性がないため洗浄が容易でないなど衛生管理上支障がある材質を用いていないこと
    • 底面は、ふん尿などが漏れない構造であること
    • 側面または天井は、常時、通気が確保され、かつ、ケージなどの内部を外部から見通すことができる構造であること。 (ただし、飼養・保管する動物が傷病動物であるなど、特別な事情がある場合は除く)
    • 飼養施設の床などに確実に固定するなど、衝撃による転倒防止のための措置が取られていること
    • 動物によって、容易に損壊されない構造・強度であること
  8. 構造・規模が、取扱う動物の種類・数からして、著しく不適切でないこと
  9. 犬猫の飼養施設は、基準省令の飼養施設・設備の項目に適合していること
  10. 犬猫の飼養施設は、他の場所から区分するなどして、夜間(午後8時から午前8時まで)に、顧客や見物客などを立ち入らせない措置が取られていること※ (販売業、貸出業、展示業で、夜間に営業をしようとする場合に限る)

※ 生後1年以上で、午後8時から午後10時までの間に展示されるときには休息設備に自由に移動できる状態で展示されている猫(この猫を「特定成猫」と言います)の飼養施設については、夜間のうち展示を行わない間でも、上記10の措置が取られていること (販売業、貸出業、展示業で、夜間のうちに特定成猫の展示を行わないときでも営業をしようとする場合に限る)

2-4.基準4:犬猫等健康安全計画に関すること

犬猫販売業者が作成する犬猫等健康安全計画が、以下の基準に適合していないと登録できません。

※犬猫等健康安全計画には、①幼齢の犬猫の健康・安全を保持するための体制整備、②販売することが困難になった犬猫の取扱い、③幼齢の犬猫の健康・安全の保持に配慮した飼養・保管・繁殖・展示方法の、3つを記載します。

  1. 基準省令に適合するものであること
  2. 幼齢の犬猫の健康・安全の保持のために明確で具体的であること
  3. 販売が困難になった犬猫の取扱いが、終生飼養を確保するために適切であること

2-5.基準5:その他の基準

申請書・添付書類にうその記載がある場合や、重要な事実の記載をしていないときは、当然ですが、登録はできません。

2-6.登録の更新

第1種動物取扱業は、5年ごとに更新しないといけません。更新をしないと、登録の効力が失われます。

更新の手続きは、期間満了の2か月前からできます。

 

※更新時も、最初の登録のときと同じ基準に適合している必要があります。

3.その他(動物愛護管理法以外の規制)

飼育する動物の頭数や立地、建物について、動物愛護管理法以外にも、化製場法や都市計画法、建築基準法によって規制されることがあるため、注意が必要です。

 

また、やぎやミニブタ、ポニーを愛玩目的であっても売買するときは、家畜商法の許可が必要なので、注意がいります。

4.まとめ

第1種動物取扱業の登録をするための5つの基準をご案内いたしました。

 

以上の基準をすべてクリアすることで、ブリーダーやペットショップ、ペットホテルなどの第1種動物取扱業の登録をすることができ、事業を始めることができます。
 

また、5年ごとに登録の更新が必要であり、そのときの基準も同じなので、継続して守っていくことになります。

 

さらに、第1種動物取扱業者の登録をした後は、第1種動物取扱業者の責務を守っていく必要があるので、確認をして対応していきましょう。

 

※基準省令については、以下のリンク先をご覧いただき、必ず、関係する部分を確認しましょう。

⇒リンク(【共通事項】第1種動物取扱業者の動物管理方法)

⇒リンク(【個別事項】第1種動物取扱業者の動物管理方法)

 

当WEBサイトでは、登録に関するサポートを行っております。お困りのときは、ぜひご活用ください。

5.当WEBサイトについて

当WEBサイトを運営する、原澤行政書士事務所での報酬は下表のとおりです。

業務内容 報酬代金(税込)
第1種動物取扱業の登録 ※1 6万500円~
第1種動物取扱業の登録の更新 ※2 4万9,500円~
第1種動物取扱業の登録の変更 ※2 3万3,000円~

※1 業種が増えるごとに、1万6,500円(税込)加算

※2 業種が増えることに、1万1,000円(税込)加算

※報酬代金のほかに、必要経費をいただきます。

※書類作成のみ(図面は除く)であれば、全国対応可。その場合の料金は、お問い合わせください。

 

確実に手続きができますので、安心してお任せしていただけると思います。

こちらのページもご覧ください。

登録に必須の動物取扱責任者の要件
登録に必須の動物取扱責任者の要件
犬猫のみに関する飼養施設・設備と従事者の数のルール
犬猫のみに関する飼養施設・設備と従事者の数のルール
登録後に行う第1種動物取扱業者の責務
登録後に行う第1種動物取扱業者の責務
【個別事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法
【個別事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法
【共通事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法
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動物の飼養・収容の許可(化製場法に基づく許可)
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