犬猫のみに関する飼養施設・設備と従事者の数のルール

基準省令の共通事項のうち、犬猫だけに関する飼養施設・設備と従事者の数の、それぞれの規定について、詳しくご案内します。

 

1.基準省令:共通事項(犬猫のみに当てはまるもの)「飼養施設・設備」

1-1.犬猫の飼養施設と犬猫の寸法

犬猫の飼育施設は、運動スペース分離型(以下、分離型と言います。)と運動スペース一体型(以下、一体型と言います。)があります。

 

分離型は、寝床や休息場所となるケージと運動スペースが別になっています。

一方、一体型は、寝床や休息場所となるケージと運動スペースが同一の飼養施設(おり、ケージなど)内で、平飼いなどが想定されます。

 

これらのケージには具体的な基準がありますが、犬猫の「体長」と「体高」が、その基準のもととなっています。(「体長」と「体高」は、下図を参照。)

体長=坐骨端から胸骨端まで、体高=肩甲骨の上端部から地面まで
犬猫の体長と体高

1-2.分離型のケージの基準

分離型の1頭当たりのケージの基準は次のとおりです。

  • 犬:縦【体長の2倍以上】×横【体長の1.5倍以上】×高さ【体高の2倍以上】
  • 猫:縦【体長の2倍以上】×横【体長の1.5倍以上】×高さ【体高の3倍以上】、1つ以上の棚を設けて2段以上の構造にする
  • 複数飼養する場合は、最も体高が高い個体について、上記の高さを確保するようにする

飼養期間が長期間にわたるとき(販売業・貸出業・展示業・譲受飼養業)は、上記の分離型のケージとは別に、一体型と同一以上の運動スペースを設けることが必要となります。

縦(体長の2倍以上)×横(体長の1.5倍以上)
分離型の1頭当たりのケージサイズのモデル

1-3.一体型のケージの基準

一体型のケージの基準は次のとおりです。

  • 犬:床面積【分離型ケージ基準の6倍以上】×高さ【体高の2倍以上】
  • 犬:複数飼養する場合、床面積【分離型ケージ基準の3倍以上×頭数】×高さ【最も体高が高い個体の体高の2倍以上】
  • 犬:複数飼養する場合、最も体長が長い犬の床面積の6倍以上を確保するようにする
  • 猫:床面積【分離型ケージ基準の2倍以上】×高さ【体高の4倍以上】、2つ以上の棚を設けて3段以上の構造にする
  • 猫:複数飼養する場合、床面積【分離型ケージ基準以上×頭数】×高さ【最も体高が高い個体の体高の4倍以上】
  • 猫:複数飼養する場合、最も体長が長い猫の床面積の2倍以上を確保するようにする
犬の体長30㎝で2頭の場合、ケージサイズは縦180㎝、横90㎝。分離型ケージサイズの6倍になる。
一体型のケージサイズのモデル(犬):犬2頭の場合は、分離型ケージサイズの6倍
猫は体長・体高30㎝で1頭。一体型のケージサイズは、縦90㎝、横60㎝、高さ120㎝、棚が2つ。
一体型のケージサイズのモデル(猫の場合)

※猫の飼養施設で必要な棚について、猫が部屋全体を自由に行動できる場合は、キャットタワーなどを設置することでも基準を満たしていることになります。

 

※一体型の場合、同一のケージなどの中で、親とその子犬・子猫のみを飼養・保管する場合は、子犬・子猫を頭数に含めません。

 

※傷病の犬猫の飼養・保管や一時的に保管する等の特別の事情がある場合は、犬猫の飼養施設の規定から除きます。ただし、販売業の場合は、販売されるまでの期間の長さがわからないため、一時的な保管とは言えません。

1-4.その他の項目

1-2と1-3の規定のほかに、以下の項目も守らないといけません。

  • ケージなど・訓練場は、床材として金網を使用しないようにする (ただし、すのこや、金網の上にトレーを置くなどして、肉球が痛まないように管理されている場合を除く)
  • ケージなど・訓練場は、さび・割れ・破れなどの破損がないようにする
  • 分離型ケージの場合、運動スペースは、常時、運動ができる状態で維持管理を行う

2.基準省令:共通事項(犬猫のみに当てはまるもの)「従事者の数」

2-1.犬猫のどちらかを飼養するとき

飼養施設において、飼養・保管に従事する職員1人当たり(※1、※2)の頭数の上限は、犬については20頭(うち繁殖犬は15頭)、猫については30頭(うち繁殖猫は25頭)とする。(親と同居する子犬・子猫の頭数、繁殖から引退した犬猫の頭数は除く。)

 

※1 常勤の職員以外の職員(週40時間未満の労働形態の職員のこと)については、それらの職員の勤務延べ時間数の総数を、当該事務所での常勤職員が勤務すべき時間数(40時間)で割った値を職員数とします。(割ったときに、小数点以下の端数があるときは切り捨てる。)

なお、営業日数が少なくて、営業時間が40時間未満であるときは、その時間数を「常勤職員が勤務すべき時間数」とすることでよいです。例えば、営業日数が週2日であれば、「常勤」は2日勤務する従業員で、「常勤職員が勤務すべき時間数」は16時間となります。

 

※2 同一事業者で、例えば、販売業と保管業などのように複数の業種を登録している場合は、常勤の職員であっても、それぞれの業種ごとに※1の計算を行う必要があります。

動物取扱業者が飼養・保管する犬猫(①その他の犬猫(販売・貸出し・展示などをしたり、将来繁殖に用いる犬猫)、②繁殖犬猫(繁殖のための犬猫)、③親と同居する犬猫、④繁殖引退犬猫(引退後も同じ業者の飼養施設にいる犬猫)) ①+②=職員1人当たりの飼養・保管する犬猫(犬:20頭まで、猫:30頭まで)、②=職員1人当たりの飼養・保管する繁殖犬猫(犬:15頭まで、猫:25頭まで) ※③と④は、飼養・保管していても、「職員1人当たりの飼養・保管する犬猫」の頭数に含めない
飼養・保管する犬猫の区分のイメージ図

2-2.犬猫の両方を飼養するとき

飼養施設で犬と猫の両方を飼養・保管する場合は、飼養・保管に従事する職員1人当たりの頭数の上限は、下の表のとおりです。(既存の事業者について、この規定は2022年6月1日から始まって、段階的に適用されていますが、2024年6月1日には、下表のとおりになります。)

飼養・保管する犬の頭数(頭)   飼養・保管する猫の頭数(頭)  
うち繁殖のための頭数(頭) うち繁殖のための頭数(頭)
30 25
29 24
28 23
27
26 22
25 21
24 20
23 19
22 18
21
20 17
19 16
18 15
17 14
16 13
10 15
11 14 12
13 11
12 12 10
13 10 11
10
14 11
15
16 12
17 13
18 14
19
20 15

2-3.飼養・保管に従事する職員数に対する上限頭数の計算方法

下記を例として、計算手順1~3のとおりに計算します。

 

(例)

常勤職員A・・・40時間勤務

非常勤職員B・・・36時間勤務

非常勤職員C・・・32時間勤務

飼育・保管している犬の頭数※・・・5月30頭(うち繁殖犬20頭)、6月20頭(うち繁殖犬15頭)

飼育・保管している猫の頭数※・・・5月5頭、6月10頭

※親と同居する子犬・子猫の頭数、繁殖から引退した犬猫の頭数は含まれていません。

 

計算手順1.職員数の算出

1人(常勤職員)+(36時間+32時間)÷40時間

=1人+78時間/40時間

=1人+1.95人(小数点以下を切り捨てる)

=2人

 

計算手順2.施設内での職員1人当たりの飼育・保管頭数の算出

(5月)

犬の頭数:30頭÷2人=15頭

繁殖犬の頭数:20頭÷2人=10頭

猫の頭数:5頭÷2人=2.5頭

 

(6月)

犬の頭数:20頭÷2=10頭

繁殖犬の頭数:15頭÷2=7.5頭

猫の頭数:10頭÷2人=5頭

 

計算手順3.上記2の計算結果と頭数の基準を比較(上の表を参照して比較します)

(5月)

犬15頭=15頭(上限) →基準をクリア

繁殖犬10頭<11頭(上限) →基準をクリア

猫2.5頭<8頭(上限) →基準をクリア  以上より、5月は飼育・保管頭数の基準にすべて適合

 

(6月)

犬10頭<11頭(上限) →基準をクリア 

繁殖犬7.5頭<8頭(上限) →基準をクリア

猫7.5頭<14頭(上限) →基準をクリア  以上より、6月の飼育・保管頭数の基準にすべて適合

 

※上記のように計算を行うため、毎月飼養・保管する犬猫の頭数、犬猫の飼養・保管に従事する職員の勤務時間を記録しておかなければいけません。

そして、毎月飼養・保管する犬猫の頭数は、毎年、都道府県等に報告する内容にもなっています。

3.まとめ

犬猫だけについての飼養施設・設備の規定、従事者の数の規定を計算方法といっしょにご案内しました。

 

特に、従事者の数については、飼養・保管する犬猫の頭数と、職員の勤務時間を記録しておく必要があるので、注意が必要です。

 

※基準省令のご確認はこちらをご覧ください。

リンク(【共通事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理)

リンク(【個別事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理)