第2種動物取扱業者の動物管理方法

第2種動物取扱業者が届出をして事業をはじめた後、第2種動物取扱業者にも守っていく責務があります。

 

その責務の1つが、「基準省令」に記載されている動物管理方法を遵守することです。

 

第2種動物取扱業者の動物取扱方法のほとんどは、第1種動物取扱業の動物管理方法と、第1種動物取扱業の登録をするときの基準をあわせたものですが、第2種動物取扱業者の動物管理方法には努力義務の項目が多いため、緩い基準となっています。

 

ここでは、第2種動物取扱業者が守らなければいけない動物管理方法を、すべての業種で当てはまる共通事項と、事業内容に応じて当てはまる個別事項に分けてご案内します。

 

目次

1.共通事項(動物全般)

動物の管理方法について、第2種動物取扱業者のすべての業種に当てはまる項目を共通事項としてご案内します。

1-1.飼養施設・設備

  • 飼養施設の建物・土地について、必要な権限があること
  • 飼養施設は、定期的に清掃・消毒を行い、汚物や食べ残しなどを適切に処理して、清潔に保つ
  • 飼養施設は、1日1回以上巡回を行い、保守点検を行う
  • 飼養施設の清掃・消毒・保守点検の実施状況を台帳(飼養施設・動物の点検状況記録台帳)に記録するように努める
  • 動物の鳴き声・臭気・動物の毛などにより、周辺の生活環境を著しく損なわないように、飼養施設の開口部を適切に管理する
  • 飼養施設について、鳴き声が外部にいきにくくなるような対策をする
  • 動物の脱走を防止するため、施設管理に必要な対策をし、必要に応じて施錠設備を備える
  • 次の設備を備えること
    1. ケージなど
    2. 給水設備
    3. 消毒設備
    4. エサの保管設備
    5. 清掃設備
    6. 遮光のため、または風雨を遮るための設備
    7. 訓練場(飼養施設において訓練を行うときに限る)
  • 必要に応じて、排水設備、洗浄設備、廃棄物の集積設備、空調設備を備えるように努める
  • 臭気の拡散や動物の毛などの飛散により、飼養施設内の環境や周辺の生活環境を著しく損なう事態が発生するおそれがある場合、空気清浄機、脱臭装置、汚物用の密閉容器などを備える
  • ねずみ・はえ・蚊・のみなどの衛生動物が侵入するおそれがある場合、その侵入の防止や駆除を行うための設備を備える
  • 飼養施設・設備は、事業内容の実施をする上で、動物の適正な取り扱いのために必要な構造・規模とする
  • 飼養施設の床・内壁・天井・付属設備は、清掃が容易であるなど、衛生状態の維持・管理がしやすい構造となるように努める
  • 飼養施設は、飼養・保管をする動物の種類・習性・運動能力・数などに応じて、その脱走を防止できる構造・強度とする
  • 飼養施設は、動物の飼養・保管のための作業に必要な空間があるようにする
  • 飼養施設の構造・規模が、取扱う動物の種類・数からして、著しく不適切でないこと
  • 飼養施設に備えるケージなどは、次のとおりにする
    • 底面は、ふん尿などが漏れない構造
    • 側面または天井は、常時、通気が確保され、かつ、ケージなどの内部を外部から見通すことができる構造 (ただし、傷病動物であるなど、特別な事情がある場合は除く)
    • 飼養施設の床などに確実に固定するなど、衝撃による転倒防止のための対策を取る
    • 動物によって、容易に損壊されない構造・強度
    • 構造・規模は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたくなどの日常的な動作を容易に行うための十分な広さ・空間があるようにする。飼養期間が長期間にわたるときは、必要に応じて、走る・登る・泳ぐ・飛ぶなどの運動ができるように、より一層の広さ・空間があるようにする (ただし、傷病動物の飼育・保管をするときや、一時的に保管する等の特別な事情がある場合を除く)
  • ケージなどや訓練場は、突起物・穴・くぼみ・斜面などによって、動物がけがなどをしないような安全な構造・材質にする
  • ケージなどや訓練場の床・内壁・天井・付属設備は、清掃が容易であるなど衛生状態の維持・管理がしやすい構造・材質にするように努める
  • ケージなどや訓練場は、動物の種類・習性・運動能力・数などに応じて、動物の脱走を防止できる構造・強度にする
  • ケージなどに、給餌・給水のための器具を備える (ただし、一時的に保管する等の特別事情がある場合は除く)
  • ケージなどに、動物の生態・習性・飼養期間に応じて、遊具・止まり木・砂場・水浴びや休息ができる設備を備えるように努める
  • ケージなどの清掃を1日1回以上行い、汚物・食べ残しなどを適切に処理する
  • ケージなどには、ふん尿の受け皿を置いたり、床敷きを敷くなどの対策をする
  • 動物の脱走を防止するため、ケージなどや訓練場に、必要に応じて、施錠設備を備える

1-2.従事者の数/環境の管理/疾病に対する措置

第1種動物取扱業者の動物管理方法と同様なので、こちらの該当する箇所をご覧ください。⇒リンク(【共通事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法)

1-3.その他

  • ケージなどの外で飼養・保管をしない (ただし、管理を徹底した上で、一時的な場合は除く)
  • ケージなどに入れる動物の種類・数は、ケージなどの構造・規模などに見合ったものにする
  • 異種または複数の動物の飼養・保管をする場合は、ケージなどの構造・配置、または同一のケージなどに入れる動物の組み合わせを考慮して、過度な動物間のケンカなどを避けるようにする
  • 動物の種類・数・発育状況・健康状態・飼養環境に応じて、エサの適切な種類・量・回数を選択し、給餌・給水をする
  • 走る・登る・泳ぐ・飛ぶなどの運動が困難なケージなどにおいて飼養・保管をする場合、動物のストレスを軽減するために、必要に応じて運動の時間を設ける
  • 1日1回以上巡回を行い、動物の数・状態を確認する
  • 動物の脱走に備え、必要に応じて捕獲体制の整備、個体識別の実施などの対策をする
  • 野生動物については、生理・生態・習性を踏まえて、飼養可能性を検討する。必要に応じて、訓化措置をする
  • 動物の管理について、責任者を選任するように努める
  • 見物客などが動物とふれあう場合は、動物に過度なストレスがかかり、見物客などに危害を与えたり、または動物や見物客などが人と動物の共通感染症にかかることのないように、見物客などに対して、動物とのふれあい方法について指導するとともに、動物に適度な休息を与える
  • 動物の健康を保持するため、見物客などが動物にみだりに食物を与えることのないように必要な対策をとるよう努める※
  • 第2種動物取扱業の廃止などにより、飼養・保管を継続することが困難な動物がでた場合は、動物が命あるものであることから、譲り渡しなどによって生存ができるように努める
  • 病気の回復の見込みがない場合など、やむを得ず動物を殺処分しなければならない場合は、できるかぎり苦痛を与えない方法にする
  • 災害時における動物の健康・安全の確保、人の生命・身体・財産に対する侵害の防止をするため、平時より、職員間の連絡体制や動物の脱走時の捕獲体制の整備、動物の避難方法の確立、エサの備蓄などの対策をする

※顧客等が動物に食物を与えてよいときは、認められた食物以外のものが与えられないように努める。

2.共通事項(犬猫のみに当てはまるもの)

動物の管理方法について、第2種動物取扱業者のすべての業種で当てはまる共通事項のうち、犬猫のみに当てはまる項目をご案内します。

2-1.飼養施設・設備/従事者の数 (犬猫のみに当てはまるもの)

第1種動物取扱業者の動物管理方法と同様なので、こちらをご覧ください。⇒リンク(犬猫のみに関する飼養施設・設備と従事者の数のルール)

2-2.環境の管理/疾病に対する措置 (犬猫のみに当てはまるもの)

第1種動物取扱業者の動物管理方法と同様なので、こちらの該当する箇所をご覧ください。⇒リンク(【共通事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法)

2-3.その他(犬猫のみに当てはまるもの)

  • 犬猫を次のうちどれにも当てはまらないようにする
    • 被毛にふん尿などが固着した状態
    • 体表が毛玉で覆われた状態
    • 爪が異常に伸びている状態
    • 上記の他、適切な飼養・保管が行われていないことにより、健康・安全が損なわれるおそれのある状態
  • 幼齢の犬猫は、適切な期間、親・兄弟姉妹などと一緒に飼養・保管するように努める
  • 清潔な水が常に飲めるようにしておく (ただし、傷病動物の飼育・保管をするときや、一時的に保管する等の特別な事情がある場合を除く)
  • 分離型のケージの場合、1日3時間以上運動スペース内で自由に運動することができる状態にする※ (ただし、傷病動物の飼育・保管をするときや、一時的に保管する等の特別な事情がある場合を除く)
  • 散歩やおもちゃを用いた活動などを通して、人と毎日ふれあえるようにする (ただし、傷病動物の飼育・保管をするときや、一時的に保管する等の特別な事情がある場合を除く)

※連続して3時間以上運動させておく必要はなく、1回1時間の運動を1日3回させることでも問題ないです。

また、外部の公園や散歩での運動時間を、ここでの運動時間に含めることはできません。

3.共通事項(有毒動物のみに当てはまるもの)

  • 毒へびなどの有毒動物の飼養・保管をする場合、抗毒素血清などの救急医薬品を準備、または医師による迅速な救急処置が行える体制を整備する

4.個別事項(動物全般)

第2種動物取扱業の事業内容に応じて当てはまる、動物全般の管理方法の項目(個別事項)についてご案内します。

4-1.譲り渡しを行う場合

  • 譲り渡す際、その動物を飼養・保管していた間に病気などの治療、ワクチン接種などを行っていたら、獣医師が発行した、それらについての証明書を譲渡先に交付する※
  • 譲り渡す際、当該動物に関する次の情報を譲渡先に説明する
    1. 品種などの名称
    2. 飼養・保管に適した飼養施設の構造・規模
    3. 適切な給餌・給水の方法
    4. 適切な運動・休養の方法
    5. 遺棄の禁止、その他の当該動物に関する関係法令の規制内容
  • 可能な限り、離乳などを終えて、成体が食べるエサと同様のエサを自力で食べることができるようになった動物(哺乳類に限る)を譲り渡すように努める
  • 可能な限り、飼育環境の変化や、輸送に対する十分な耐性が備わった動物を譲り渡すように努める
  • 次の情報がわかっている場合は、譲り渡すにあたって、あらかじめ譲渡先に説明するように努める
    1. 性成熟時の標準体重・標準体長、その他の体の大きさに関する情報
    2. 平均寿命、その他の飼養期間に関する情報
    3. 人と動物の共通感染症、その他の当該動物がかかりやすい疾病の種類と予防方法
    4. 不妊・去勢の方法と費用(哺乳類に限る)
    5. その他のみだりな繁殖を制限するための措置(不可逆的に不妊・去勢を実施している場合を除く)
    6. 性別の判定結果
    7. 生年月日
    8. 不妊・去勢の実施状況(哺乳類に限る)
    9. 当該動物の病歴、ワクチン接種状況
    10. その他の当該動物の適正な飼養・保管に必要な事項(上記の黒丸2つ目の情報は除く)
  • 動物の譲り受け・譲り渡し・繁殖・死亡などの動物の増減状況について台帳(動物の増減状況の記録台帳)に記録し、5年間保管する

※当該動物を譲り受けたとき、その相手から治療やワクチン接種などについての証明書があるときは、それらも併せて交付します。

4-2.保管を行う場合・訓練を行う場合

  • 動物をケージなどから搬出するたびに、そのケージなどの清掃・消毒をする
  • 動物に芸をさせたり、訓練をする場合、芸や訓練などが過酷なものとならないようにする※
  • 動物の増減状況について台帳(動物の増減状況の記録台帳)に記録し、5年間保管する

※訓練業のみに当てはまる規定です。

4-3.貸出しを行う場合

  • 貸出す際、当該動物に関する次の情報を貸出先に提供する
    1. 品種などの名称
    2. 飼養・保管に適した飼養施設の構造・規模
    3. 適切な給餌・給水の方法
    4. 適切な運動・休養の方法
    5. 遺棄の禁止、その他の当該動物に関する関係法令の規制内容
  • 可能な限り、飼育環境の変化や、輸送に対する十分な耐性が備わった動物を譲り渡すように努める
  • 次の情報がわかっている場合は、貸出す際、あらかじめ貸出先に説明するように努める
    1. 人と動物の共通感染症、その他の当該動物がかかりやすい疾病の種類と予防方法
    2. 性別の判定結果
    3. 生年月日
    4. 当該動物の病歴、ワクチン接種状況
    5. 不妊・去勢の実施状況(哺乳類に限る)
    6. その他の当該動物の適正な飼養・保管に必要な事項(上記の黒丸2つ目の情報は除く)
  • 動物の譲り受け・貸出しなどの動物の増減状況について台帳(動物の増減状況の記録台帳)に記録し、5年間保管する

4-4.展示を行う場合

  • 長時間連続して展示を行う場合、動物のストレスを軽減するため、必要に応じて、途中に展示を行わない時間を設けるように努める
  • 動物に芸をさせたり、訓練をする場合、芸や訓練などが過酷なものとならないようにする
  • 動物の増減状況について台帳(動物の増減状況の記録台帳)に記録し、5年間保管する

4-5.輸送する場合

  • 輸送設備(輸送中に動物を入れておく設備)は、確実に固定するなどして、衝撃による転倒を防止する
  • 輸送設備は、定期的な清掃・消毒の実施により、清潔に保つ
  • 必要に応じて空調設備を備えるなどして、動物に適した温度・明るさ・換気・湿度などが確保されるようにする (ただし、動物の健康・安全を守るための特別な事情がある場合を除く)
  • 動物の種類・数・発育状況・健康状況に応じて、エサの種類を選択し、適切な量・回数により給餌・給水を行う (ただし、動物の健康・安全を守るための特別な事情がある場合を除く)
  • 動物の疲労・苦痛を軽減するために、輸送時間はできる限り短くするとともに、輸送中は、必要に応じて休息または運動のための時間を確保する
  • 衛生管理、事故・脱走の防止、周辺の生活環境の保全に必要な対策をする

※他者に輸送を委託する場合も、この規定のとおりに行います。

4-6.繁殖を行う場合

台帳の作成を除けば、第1種動物取扱業者の動物管理方法の「繁殖」の項目と同様なので、こちらをご覧ください。⇒リンク(【個別事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法)

5.個別事項(犬猫のみ当てはまるもの)

第2種動物取扱業者における、犬猫のみに当てはまる管理方法について、事業内容ごとにご案内します。

5-1.譲り渡しを行う場合・貸出しを行う場合(犬猫のみに当てはまるもの)

  • 飼養施設に輸送された犬猫は、輸送後2日以上、その状態(下痢、おう吐、四肢のまひなどの外形上明らかなもののみ)を目視によって観察する
  • 譲渡業であれば、「取扱う犬猫の帳簿」を備えているはずであるので、「動物の増減状況の記録台帳」は備えなくて良い。ただし、もし、「取扱う犬猫の帳簿」がないのであれば、「動物の増減状況の記録台帳」を備える

5-2.展示を行う場合(犬猫のみに当てはまるもの)

  • 長時間連続して展示を行う場合は、犬猫が休息できる設備(※1)に自由に移動できる状態にする。そのようなことが困難な場合は、展示時間が6時間を超えるごとに、展示を行わない時間を設けるように努める※2

※1 「休息できる設備」とは、見物客などとの接触・視線・照明・音響にさらされる状態を避けることができ、十分に休息できる場所などのことです。

 

※2 犬猫がダンボールなどの簡易的なものに入ったとしても、「展示を行わない時間」にはなりません。

5-3.繫殖を行う場合(犬猫のみに当てはまるもの)

台帳の作成を除けば、第1種動物取扱業者の動物管理方法の「繁殖(犬猫のみに当てはまるもの)」の項目と同様なので、こちらをご覧ください。⇒リンク(【個別事項】基準省令~第1種動物取扱業者の動物管理方法)

6.まとめ

基準省令に記載されている第2種動物取扱業者の動物管理方法のうち、すべての業種に当てはまる共通事項と、事業内容に応じて当てはまる個別事項に分けてご案内しました。