ペットフードの製造・輸入・販売するときの規制の内容

2024年2月22日

ペットフードはペット(飼い犬や飼い猫)の健康にとって、とても大事なことなことは言うまでもないことだと思います。

 

ですから、ペットフードが安全であることを確保するために、ペットフードの製造や販売などを規制する法律やその他のルールがあります。

 

ここでは、ペットフード安全法(正式名称:愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)を中心として、ペットフードの規制の内容をご案内していきますので、ペットフードを作ったり、販売するときには参考にしてください。

 

1.事業者の責務

"第3条 製造業者、輸入業者又は販売業者は、その事業活動を行うに当たって、自らが愛がん動物用飼料の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識して、愛がん動物用飼料の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、愛がん動物用飼料の原材料の安全性の確保、愛がん動物の健康が害されることを防止するための愛がん動物用飼料の回収その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。"

引用元 - 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律

※ 「愛がん動物」とは飼い犬と飼い猫のことであり、「愛がん動物用飼料」とはペットフードのことです。

 

上記のペットフード安全法の第3条では、ペットフードの事業者(製造業者・輸入業者・販売業者)は、ペットフードの安全性については、第一義的な責任があることを認識するようにと、書かれています。

 

「第一義的」という言葉を辞書で引くと、「最重要の」や「本質的な」という言葉が一番近い言葉になるので、「第一義的な責任」とは非常に重い責任があることが読み取れると思います。

 

そして、この第一義的な責任のために、事業者は次のような措置をするように要請されています。

  1. ペットフードの安全性の確保のための知識・技術の習得
  2. ペットフードの原材料の安全性の確保
  3. ペットフードの安全性に問題がある場合の回収

なお、この3つの措置以外はしなくても良いということでなく、事業者の方々の自主的な判断によって実施することと、なっています。(通知「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行について」より)

 

 

上記1~3についての具体的な取り組みとしては、以下のことが考えられると思います。

  1. ペットフードに関する最新知識や技術について、研修を実施したり、外部セミナーを受講するなど
  2. 原材料の産地や生産方法を確認したり、定期的に検査をするなど
  3. 回収情報は速やかにホームページで公開したり、原因究明や再発防止に努めるなど
ペットフード事業者(製造業者、輸入業者、販売業者)には、ペットフードの安全性確保のために第一義的な責任があります
ペットフード事業者(製造業者、輸入業者、販売業者)には、ペットフードの安全性確保のために第一義的な責任があります

2.ペットフードの規格・基準

ペットフードには規格・基準が定められています。(省令より)

 

事業者には、ペットフードの安全性の確保について「第一義的な責任」がありますので、しっかりとこれらの項目を守っていきましょう。

2-1.成分規格

ペットフードには成分規格が定められていて、この規格に合っていないペットフードを製造・輸入・販売してはいけません。(ペットフード安全法6条4号)

 

この規格は、下記の表のとおりで、添加物・残留農薬・汚染物質※の量を具体的な数値以下にすることを定めています。

※ 汚染物質とは、環境中に存在する物質で、意図せずにペットフードに含まれるものをいいます。

 

  物質 具体的な数値(μg/g)
 添加物 亜硝酸ナトリウム 100
エトキシキン・BHT・BHA

150(合計量)

(犬用の場合、エトキシキンは75以下)

残留農薬 グリホサート 15
クロルピリホスメチル 10
ピリミホスメチル 2
マラチオン 10
メタミドホス 0.2
汚染物質 アフラトキシンB1 0.02
デオキシニバレノール

2(犬用)

1(猫用)

カドミウム 1
3
無機ヒ素 2
BHC 0.01
DDT(DDDとDDEを含む) 0.1
アルドリンとディルドリン 0.01(合計量)
エンドリン 0.01
ヘブタクロルとヘブタクロルエポキシド 0.01(合計量)
メラミン 2.5

 

規格の詳細については、こちらのリンクもご覧ください。⇒ペットフードの基準規格等(環境省)

2-2.製造基準

ペットフードには製造基準もあり、次のとおりです。

  • ペットフード製品に有害物質が混入したり、病原微生物に汚染されたり、それらの疑いのある原材料を使用してはいけない。
  • 加熱工程や乾燥工程のある販売用ペットフードの場合、原料由来の微生物を十分に除去できる方法で行うこと。
  • 猫用の販売用ペットフードには、プロピレングリコールを使用してはいけない。

製造基準を守るために、原材料の入荷から製品の製造、出荷まで万全の管理体制が必要となります。

 

また、製造基準に合わない製品を、製造・輸入・販売してしまうと、法令違反となってしまいます。(ペットフード安全法6条1号・2号)

2-3.表示基準

ペットフードの表示についても基準がありますが、それは今後、他のページで詳しく説明します。

 

表示基準に合わないものを販売してはいけません。(ペットフード安全法6条3号)

2-4.規格・基準に合わないペットフードへの対応

以下のような問題のあるペットフードによって、ペットの健康が害されることを防止するために、事業者には回収命令や廃棄命令が下される可能性があるので、くれぐれも注意してください。(ペットフード安全法8条)

  • 製造基準に合わないのに販売や輸入されたペットフード
  • 表示基準に合わないのに販売されたペットフード
  • 規格に合わないのに販売や製造、輸入をされたペットフード
  • 有害物質が混入し、またはその疑いがあって製造・輸入・販売を禁止されたペットフード
  • 病原微生物が混入し、またはその疑いがあって製造・輸入・販売を禁止されたペットフード

3.立ち入り検査

国や独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が、事業者に対して立ち入り検査をし、基準・規格に合ったペットフードの製造・輸入・販売をしているのか、確認することがありえます。

 

その場合には、事前の通告なしで行われます。

また、その際には、対価を支払って、製品を抜き取り、試験を行うことがあります。

試験結果については、事業者の氏名・住所、ペットフードの種類・名称、違反の有無とその内容が公表されます。

 

検査は抜き打ちで行われるので、事業者の方々にとっては緊張するものです。

しかし、法令を遵守するための必要不可欠な取り組みなので、丁寧に対応をしていきましょう。

4.まとめ

ペットフードの事業者の責務と、ペットフードの規格・基準についてご案内しました。

 

ペットフードの製造業者・輸入業者・販売業者には、第一義的な責任がありますので、規格・基準に合ったペットフードの取り扱いをお願いいたします。

 

ペットフードに関するお手続きのご相談も承っておりますので、遠慮なさらずお問い合わせください。

こちらのページもご覧ください。

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