ペットフード事業者の届出と帳簿

2024年3月7日

ペットフード事業者(製造業者・輸入業者・販売業者)には、ペットフードの安全性の確保のために「第一義的な責任」があり、ペットフードに問題があって回収が必要となった場合には、自らの責任で行うことになります。

 

ここでは、ペットフード安全法で定められている、ペットフード事業者の届出と帳簿についてご案内します。
 

1.事業者の届出

ペットフードの安全性の確保のために、事業者には「第一義的な責任」があって、ペットフード製品に問題があるときは回収するように、とされています。

 

この万が一の回収のときのために、国が事業者を把握しておく必要があることから、事業を開始する前に届出をすることが義務となっています。

 

※「業者」や「事業者」とは、反復継続して行う意思がある者を指しています。ですから、一回だけの行為であっても、反復継続する意思があった場合には「業者」や「事業者」に該当します。

 

※以下の1-1と1-2で「販売」という言葉が出てきますが、無償で提供する場合(無償サンプルの配布など)も含んでいます。

1-1.届出をする事業者(製造業者について)

ペットフード安全法第9条より、国内で販売用ペットフードの製造を行う業者は届出の対象です。

 

ただ、どのような場合に届出の対象となるかは少し複雑なので、判断に迷う方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、届出が必要な業者とそうでない業者を列挙しましたので、ご覧ください。

 

<製造業の届出が必要な業者の例>

  • 原材料を自ら購入し、加工して、販売用に包装を行う業者
  • 他の製造業者が製造した複数のペットフードを混合し、販売用に包装を行う業者
  • 他の業者から委託製造を行う業者
  • 人用の食品から販売用ペットフードを製造する業者
  • 製造・輸入されたペットフードを小容量製品にするために開封し、再度包装作業を行う業者
  • キッチンカーや屋台でペットフードを製造し、販売する業者
  • 全量輸出するために販売用ペットフードを製造する業者

 

<製造業の届出が不要な業者の例>

  • 国外でのみ製造する業者
  • 原材料の生産だけを行う業者
  • 自ら製造は行わず、他の業者に製造委託する業者
  • ラベル貼付、容器包装の補修・補強、セット組みなどだけを行う業者
  • ドッグカフェやペットホテルで調理し、店舗内でのみペットに提供する業者(持ち帰り用のペットフードを製造する場合は届出が必要)
  • 製造・輸入されたペットフードをバラ売りするために開封する業者(持ち帰りのための簡易包装を含む)

 

それでも判断に迷う方は、遠慮せずご相談ください。⇒問い合わせフォーム

 

1-2.届出をする事業者(輸入業者について)

ペットフード安全法第9条より、国内に販売用ペットフードを輸入する業者は届出をすることとなっていますが、すべての業者が対象となるわけではありません。

 

輸入する上で、ペットフード安全法の届出が必要なケースと不要なケースは次のとおりです。

 

<輸入業の届出が必要な業者の例>

  • 国内で販売するために、海外の自社工場で製造されたペットフードを輸入する業者(=貨物の輸入者となる業者)
  • 海外で製造や販売をされているペットフードを輸入する業者
  • 全量輸出するために販売用ペットフードを輸入する業者

 

<輸入業の届出が不要な業者の例>

  • 原材料のみを輸入して、国内で製造を行う業者(製造業者の届出は必要)
  • 輸入通関業のみを行う業者
  • 委託を受けて、輸入された販売用ペットフードを扱う運送業・倉庫業のみを行う業者
  • 輸入代行業者で、通関で貨物の輸入者とならない業者

1-3.届出の内容

事業の種類ごとに届出書を作成します。

ですから、製造業と輸入業を両方行う場合は、製造業の届出書と輸入業の届出書の併せて2通の届出書を作成することになります。

 

届出の内容は次のとおりです。

  1. 氏名・住所(法人の場合は、法人名・代表者の職名・登記簿上の本社の所在地)
  2. ペットフードを製造する事業場の名称・所在地(製造業者のみ)
  3. 販売業務を行う事業場の所在地、ペットフードを保管する施設の所在地
  4. 製造または輸入するペットフードが使用されるペットの種類
  5. 製造または輸入の開始年月日
  6. 輸出用として製造するペットフードについてはその旨

 

<記入のポイント>

  • 事業場が複数ある場合は、その全てを記載します。
  • 上記2の製造業者の事業場に名称がない場合でも名称を付ける必要があります。
  • 上記3の販売業務を行う事業場とは、売上が計上される事業場のことです。
  • 上記3のペットフードを保管する施設とは、営業倉庫などのことで、自社の倉庫だけではなく、保管を委託している他者の倉庫も含みます。また、ラベル貼付やセット組みなどの工程を他者に委託している場合は、その他者の施設も含みます。
  • 上記6で、輸出用がない場合は「輸出用はなし」、一部輸出用があれば「輸出用を含む」、すべて輸出用であれば「全て輸出用」などと記載します。

 

届出書の詳しい記載例についてはこちらのリンクをクリックしてください。⇒届出や帳簿に関するマニュアル(農林水産省)

 

届出書はこちらのリンクをクリックして、ご利用ください。⇒届出様式一式(変更届、廃止届、承継届を含む)(農林水産省)

1-4.届出の時期などについて

事業者の届出は、新たに製造や輸入の事業を開始する前に行うことが必要です。

 

その他に、以下の場合にも届出が必要となります。

 

<届出事項に変更があった場合>

30日以内に変更届が必要です。

 

<事業を廃止する場合>

30日以内に廃止届が必要です。

 

<事業の譲渡や相続、会社の合併・分割、事業の承継の場合>

30日以内に変更届、廃止届、承継届が必要となります。

 

なお、製造業者が新たに輸入業を開始したり、輸入業者が新たに製造業を開始する場合は、変更届ではなく、新たに事業を開始することになりますので、事業者の届出が必要となります。注意してください。

1-5.届出先と提出書類

届出先は地方農政局で、持参・郵送・メールでの受付が可能となっています。

また、農林水産省共通申請システム(eMAFF)を利用しての届出もできます。

 

届出に必要な書類は次の3点です。

  • 届出書の正本1通(控えが必要な場合は、写し1通と返信用切手を貼付した封筒) 
  • ※eMAFFを利用する場合は情報の入力のみです
  • 登記簿謄本などの写し(法人)、住民票などの写し(個人)1通 
  • ※eMAFFを利用する場合は不要です
  • 送付状や名刺などの担当者の連絡先が分かるもの
  • ※eMAFFを利用する場合は不要です

 

eMAFFを利用する為には事前に登録が必要となります。

eMAFFの詳細については、こちらのリンクをクリックしてみてください。⇒農林水産省のサイト(農林水産省共通申請サービス)

2.帳簿の内容

事業者の届出と同様に、ペットフードの万が一の回収に備えて、各事業者は製造・輸入・販売の記録をすることが義務となっています。

 

帳簿を作成して、それに記録することが原則ですが、原料規格書・製品規格書・原材料の納品伝票・製品の販売伝票・製品の受領書・輸入許可通知書・送り状などの書類に、帳簿に記載すべき内容が記載されているのであれば、それらの書類の保存で代替できます。

 

帳簿は2年間、各事業場で保管する必要があります。

2-1.帳簿への記載が必要な場合

帳簿への記載が必要となるのは、次の2つのケースです。

  1. 製造業者・輸入業者が、販売用ペットフードを製造・輸入したとき
  2. 製造業者・輸入業者・販売業者が販売用ペットフードを製造業者・輸入業者・販売業者に譲り渡したとき

 

一方で、以下のケースでは帳簿への記載は不要です。

  • 消費者に販売したとき
  • 製造業者・輸入業者・販売業者が他者から譲り受けたとき

2-2.製造したときの帳簿への記載内容

製造業者がペットフードを製造したときは、次の項目を帳簿に記載します。

  • ペットフードの名称・数量・製造年月日
  • 原材料の名称
    • 製品に表示されている「原材料名」に対応して、原材料の名称を記載することが基本です。
  • 原材料の数量

※原材料を他の業者から仕入れている場合は、原材料の仕入れ年月日・仕入先も記載する必要があります。

 

なお、法令上の義務ではないのですが、製品に問題があって原因究明を速やかに行うために、原材料の製造業者・原産国も記載することが望ましいとされています。(「ペットフード安全法 届出や帳簿に関するマニュアル」より)

2-3.輸入したときの帳簿への記載内容

輸入業者がペットフードを輸入したときは、次の項目を帳簿に記載します。

  • ペットフードの名称・数量・輸入年月日・荷姿※1
  • 輸入先国、輸入の相手方※2
  • ペットフードが製造された国、製造業者、原材料の名称※3

※1 輸入年月日は、輸入許可通知書の輸入許可日です。

※2 輸入の相手方は、輸入許可通知書の輸出者です。

※3 製造された国と原材料の名称は、製品に表示する「原産国名」・「原材料名」に対応して記載します。

2-4.製造業者・輸入業者・販売業者に譲り渡したときの帳簿への記載内容

製造業者・輸入業者・販売業者に譲り渡したときは、次の項目を帳簿に記載します。

  • ペットフードの名称・数量
  • 譲り渡しの相手方
    • 譲り渡しの相手方との間に、輸送業者・倉庫業者などの中間業者が入っていても、最終的に譲り渡す相手方を「相手方」に記載します。ただし、製品の回収が必要となる場合に備えて、中間業者間の物流についても、自らの責任の下で、必要なデータの把握ができる体制を整えるように努めることとなっています。(「ペットフード安全法 届出や帳簿に関するマニュアル」より)
  • 譲り渡し年月日
    • 譲り渡し年月日は、製造業者・輸入業者・販売業者が製品を受領した日です。
  • 荷姿

3.まとめ

ペットフードの事業者の届出と帳簿の内容についてご案内しました。

 

ペットが健康のために、毎日食べるペットフードはとても重要です。

ペットの事業者には、第一義的な責任がありますので、規制を遵守して、飼い主さんやそのペットに喜ばれる素敵なペットフードを提供をしていってください。

 

ペットフードに関するお手続きのご相談も承っておりますので、遠慮なさらずお問い合わせください。