ペットフードの一括表示ガイド

2024年5月27日

ペットフードは、主にペットフード安全法(正式名称:愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)によって規制されています。

(詳細はこちらをクリック⇒ペットフードの製造・輸入・販売するときの規制の内容

 

ペットフード安全法によって、ペットフードの規格・基準が定められていますが、そのうちの1つが、「ペットフードの表示」です。

正しい表示をしていないと、回収命令を下されることがありますので、十分注意してください。

 

ここでは、ペットフードの表示についてご案内していきますので、ペットフードを作ったり、販売するときには参考にしてください。
 

1.ペットフードの義務表示

ペットフードには、次の項目を表示することが義務付けられています。

  • 名称
  • 賞味期限
  • 原材料名
  • 原産国名
  • 事業者名および住所

1-1.表示内容

以下の表示例の赤でおおっている部分が義務表示です。

 

義務表示の5項目を一括して表示した方が良いですが、十分なスペースが取れない場合など、バラバラに表示したとしても問題はありません。

ただし、消費者に分かりやすい表示になるようにしましょう。

ペットフードの義務表示の例
ペットフードの義務表示の例

1-2.名称

名称は、次のとおりに記載します。

  • 商品名を記載します。
  • 犬用または猫用であることがわかるように記載します。

 

商品名から、犬用または猫用であることが分かりにくい場合は、商品名のほかに「犬用または猫用」であることを併記します。

商品名と「犬用または猫用」の記載をまとめて表示することが難しい場合は、一括表示に「成犬用総合栄養食」などと犬用であることが分かるように記載して、商品名は包装のオモテ面に記載しても良いです。

ただし、消費者に分かりやすい表示になるようにしましょう。

1-3.賞味期限

賞味期限は、次のとおりに記載します。

  • 「賞味期限」と記載します。
  • 年月日または年月を数字で表示します。(これ以外の順で表示する場合には説明が必要です。)
  • 缶詰の場合や表示スペース、印字方法の都合で、「賞味期限」と日付を併記できない場合は、賞味期限を記載している箇所を明記することに代えることができます。

任意で製造年月日や消費期限を記載しても良いですが、その場合でも賞味期限の表示は義務なので、必ず記載しましょう。

 

ところで、賞味期限とは、未開封で製品ごとに定められた保存方法により保存した場合に、期待されるすべての品質の保持が十分に可能な期限のことです。

次のいずれかの方法で確認しましょう。

  • 自社あるいは外部機関による保存試験などの結果
  • 外部機関などによる賞味期限設定のための試験結果
  • 同様の原材料・製法の製品の賞味期限を参考とする場合は、参考とする製品の規格(加工工程を含む)と当該製品の比較
  • その他の科学的・合理的根拠に基づく方法

1-4.原材料名

原材料名は、次のとおりに記載します。

  • 「原材料名」または「原材料」と記載します。
  • 添加物以外の原材料は、原材料に占める重量割合の多い順に記載する。(公正競争規約より)
  • 使用したすべての原材料(添加物を含む)を日本語で記載します。(加工助剤は除く)
  • 分類名のみで表示する原材料がある場合、第1表の分類名を使用する。
  • 分類名の後にカッコを付けて個別名を記載できるが、栄養成分の調整のために一時的に変更される可能性のある原材料は、「他」や「等」と表示することもできる。
  • 第2表の添加物を使用している場合、物質名と用途名の両方を記載する。
  • 一括名のみで表示する添加物がある場合、第3表の一括名を使用する。
  • 栄養強化が目的のビタミン類、ミネラル類は、「ビタミン類」「ミネラル類」の表示の後にカッコを付けて、それぞれの物質名などをまとめて記載できる。
  • 内容量が100g以下の缶詰または表示可能面積が120㎠以下のものは、栄養強化目的で、「ビタミン類」「ミネラル類」「アミノ酸類」と表示できる。

表1

分類名

穀類、いも類、でん粉類、糖類、種実類、豆類、

野菜類、果実類、きのこ類、藻類、魚介類(※1)、

肉類(※2)、卵類、乳類、油脂類

上記以外は、個別名による表示をする。

※1 魚類に由来する原料のみの場合は、「魚類」と表示できる。

※2 「畜肉類」と表示できる。家きんに由来する原料のみの場合は、「家きん類」または「家禽類」と表示できる。

表2

用途名

甘味料、着色料(※1)、保存料、

増粘安定剤(※2)、酸化防止剤、発色剤

※1 添加物の物質名に「色」の文字を含む場合は、用途名を省略できる。

※2 複数の多糖類を使用する場合は、「増粘多糖類」と表示し、物質名を省略できる。

表3

一括名

イーストフード、かんすい、酵素、光沢剤、香料、

酸味料、調味料、、豆腐用凝固剤、苦味料、

乳化剤、pH調整剤、膨張剤

1-5.原産国名

原産国名は、次のとおりに記載します。

  • 「原産国名」または「原産国」と記載します。
  • 原産国名を日本語で記載します。
  • 原産国名は、製品に実質的に変更をもたらす最終加工工程をした国を記載します。
  • 原産国が日本の場合は、「国産」と表示することができます。

※リパックは実施的な変更をもたらす工程ではないので、リパックをした場所は原産国でありません。

 

ペットフードには様々なタイプのものがありますが、以下のとおり、ペットフードのタイプごとの最終加工工程を行った場所が原産国です。

ペットフードのタイプ 原産国として表示する最終加工工程
ドライおよびソフトドライタイプ 押出成型工程(エクストル―ダー)
ウェットタイプ レトルト殺菌工程
練り加工タイプ 練り成型後の加熱工程
焼き菓子・パンタイプ 焼成工程
その他のタイプ 実質的な変更をもたらす最後の工程
複数製品組合せタイプ 複数の製品の組み合わにより新たな1つの製品の形態にする工程

なお、次の行為は最終加工工程ではありません

  • 商品にラベルを貼り付け、その他表示を施す行為
  • 商品を容器に詰め、または包装をする行為
  • 商品を単に詰め合わせ、または組み合わせる行為
  • 単なる切断
  • 輸送または保存のための乾燥、冷凍など
  • 単なる混合
  • その他、ペットフードの内容について実質的な変更をもたらす行為として科学的・合理的根拠があると認められない行為

1-6.事業者名および住所

事業者名と住所は、次のとおりに記載します。

  • 表示内容に責任を持つ日本の事業者を、事業者の種別とともに記載します。
  • 事業者の種別は、「製造業者・輸入業者・販売業者・製造者・輸入者・販売者」のいずれかです。
  • 事業者名を日本語で表示します。
  • 事業者の住所を日本語で表示します。(住所に加えて、電話番号などを任意で記載することができます。)

事業者の住所を、本社の住所ではなく、窓口担当(例えば、お客様センターなど)の住所にしても構いません。

また、事業者名をお客様センターにしても構いません。

2.景表法に基づく表示

不当景品類及び不当表示防止法(略称:景表法)によって、消費者を勘違いさせるような不当な広告などは禁止されています。

ペットフード公正取引協議会は景表法に基づいて公正競争規約を定め、不当な顧客の誘引防止、一般消費者の自主的・合理的な選択、事業者間の公正な競争の確保を図っています。

 

ここでは、公正競争規約に基づく表示についてご案内します。

公正競争規約はペットフード公正取引協議会の会員社だけが守れば良いものではありますが、消費者は公正競争規約に基づいた表示を日常的に目にしています。

ですから、会員社でなくても、公正競争規約に沿った表示をするように心掛けましょう。

 

なお、公正競争規約は、一般消費者向けに容器包装されたもので、犬用と猫用のペットフードに関する規約です。

2-1.必要表示事項

次の項目を、容器包装に、鮮明な文字で見やすいところに表示しましょう。

  1. ペットフードの名称
  2. ペットフードの目的
  3. 内容量
  4. 給与方法
  5. 賞味期限
  6. 成分
  7. 原材料名
  8. 原産国名
  9. 事業者の氏名または名称、および住所

このうち、1・5・7・8・9はペットフード安全法で表示が義務となっている項目です。

ここでは、それら以外の2・3・4・6についてご案内します。

義務表示と公正競争規約の必要表示
義務表示と公正競争規約の必要表示

2-2.ペットフードの目的

次のように記載をします。

  • 当該のペットフードが、毎日の主要な食事として与えることが目的であり、このペットフードと水のみで指定される成長段階の健康を維持できるような栄養バランスのとれたペットフードであれば、「総合栄養食」と記載します。
  • 当該のペットフードが、おやつ、ごほうび、コミュニケーションの手段として時を選ばずに与えることを目的としたペットフードであれば、間食(または「おやつ」、「スナック」など)と記載します。
  • 当該のペットフードが、栄養成分の量や比率が調節され、特定の疾病や健康状態にあるペットの栄養学的サポートを目的に、獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを念頭に置いたペットフードであれば、療法食(または「特別療法食」、「食事療法食」、「食餌療法食」)と記載します。 
  • 当該のペットフードが、特定の栄養成分などの調節・補給または嗜好増進として与えることを目的としたもので、総合栄養食、間食、療法食以外のペットフード(「その他の目的食」、と言います)であれば、利用目的に応じて、次のいずれかを記載します。  
    • 一般食(おかずタイプ)
    • 一般食(総合栄養食と一緒に与えてください。)
    • 栄養補完食
    • カロリー補給食
    • 副食
    • サプリメント

そして、総合栄養食の場合は、「総合栄養食」の記載のほかに、以下の当該ペットフードが適用される犬猫の成長段階も併記します。

  1. 哺乳期
  2. 妊娠期/授乳期
  3. 幼犬期・幼猫期/成長期またはグロース
  4. 成犬期・成猫期/維持期またはメンテナンス
  5. 全成長段階またはオールステージ

また、療法食の場合は、当該療法食が適用される犬猫の疾病または健康状態を記載します。

2-3.内容量

グラム(またはg)、キログラム(または㎏)、ミリリットル(またはml)、リットル(またはl)の単位で、正味量を記載します。

 

間食にあっては、個(コ、ケ)、本などの単位で記載できます。

2-4.給与方法

ペットフードの目的に応じて、それぞれ以下のように記載します。

ペットフードの目的 給与方法の記載内容
総合栄養食 成長段階、体重、給与回数と給与量
療法食 体重、給与回数と給与量、獣医師の指導に基づいて給与すべきである旨の注意書き
間食

必要とされる栄養、栄養バランスに支障を与えないための給与限度量

(必要に応じて、給与回数や与え方を記載)

その他の目的食

 給与の仕方、給与量

(一般食と副食については、1日に必要な栄養を満たすために別途栄養補給する必要がある旨

または同時に与える必要があるペットフード(総合栄養食など)や食材の名称などを併記する。)

2-5.成分

次のように記載します。

成分 記載内容
たんぱく質 〇%以上
脂質 〇%以上
粗繊維 〇%以下
灰分 〇%以下
水分 〇%以下

3.まとめ

ペットフードの表示についてご案内しました。

正しい内容で、消費者に誤解を与えないように表示をしましょう。

 

なお、今回ご案内してきた内容はあくまでも参考としていただき、以下の資料を皆様ご自身で確認してから、表示を作っていってください。

愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行について

販売用愛玩動物用飼料の原産国名表示について

原産国表示に関する事例と考え方

ペットフード安全法 表示チェックシート

表示に関するQ&A

ペットフードの表示に関する公正競争規約

 

ペットフードに関するお手続きのご相談も承っておりますので、遠慮なさらずお問い合わせください。